カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

黒木昭雄さんのブログを転載 

【5 名古屋五千万円恐喝事件】エスカレートする恐喝 傑作(1)
2010/2/7(日) 午前 1:13連載 警察はなぜ堕落したのかノンフィクション、エッセイ Yahoo!ブックマークに登録 5 名古屋五千万円恐喝事件
 事件への対応を遅らせた真相は何か

 エスカレートする恐喝

 p88-91


 それはさておき、九月下旬からA少年らの要求金額が百万円台に急激にアップし、十月ごろから、被害少年への暴行がエスカレートするとともに、一回の要求金額が二百万円、三百万円、五百万円と跳ねあがっていった。

 ワルにはワルがつくと昔から言うが、A少年が恐喝した現金を彼らの先輩格である暴走族の少年がA少年から恐喝するという二重恐喝構造が、被害少年に対する要求金額のアップにつながった。さらに、A少年と交友関係のあった別の中学校のE少年までが、A少年から「(被害少年を)脅せば簡単に金を出す」と聞かされて、被害少年を殴っては金をたかるようになっていた。

 そして十月中旬の深夜のこと。A少年の家に集まった三人は、「そろそろやばい。ぼちぼちお開き(おしまぃ)にするか」と相談し、「最後だからたくさん取ろう」と言って、それぞれが欲しい金額を数百万円ずつあげたところ、合計七百万円にもなったという。

この夜、ただちに被害少年を自宅近くの公園に呼びだし、「俺たちと縁を切りたいか?」と話しかけると、被害少年は「はい」と答えたという。A少年らは、
「それじゃ手切れ金として七百万円出せ」
 と途方もない金額を要求した。被害少年はわが耳を疑った。
「そんなに払えない、勘弁してください」
 と懇願する被害少年に、
「無理なら五百万円でいい、出さなければどんなことになるか、わかってるな」
 と再度すごみ、十月二十八日、とうとう五百万円を脅し取ったのである。

 しかし、その翌朝には三人で新幹線で大阪に出かけ、風俗店で豪遊し、高級ブランドのアクセサリーや服などを買いあさり、なんと大阪から名古屋までタクシーに乗って帰ってきたのだ。この日だけで百万円近くを浪費し、残りの金も一ヶ月ぐらいで使い切ったというから、そう簡単には恐喝の昧が忘れられるはずがない。

 そして、平成十二年一月十九日、披害少年はA少年、B少年に顔面を殴打されて鼻を骨折した。
そのときA少年は、
 「親や警察に言えば、捕まる前にお前を殺すからな」
 と殺害をほのめかして脅した。

 「明日、四百万円用意して持ってこい」と言ったA少年の言葉は、被害少年には「四百万円持ってこなければ、お前を殺す」と聞こえたのかもしれない。翌二十一日夕方、被害少年はA少年の要求に応じて四百万円の現金を用意した。

 A少年らは、被害少年のことを「俺の奴隷だ、グッチ金融だ」とうそぶいた。
 一月二十五日にはB少年が、暴行を受けたときのケガで入院中の被害少年の病室に押し入って、
「前に約束した五百万円はどうしたんだ」と要求し、二十七日に病室内で現金五百万円を脅し取った。

 さらに二月十五日、A少年らは「学校や警察に話しただろう」と被害少年に因縁をつけ、全身に粘着テープをぐるぐると巻きつけて動けないようにし、リンチにも等しい殴る蹴るの暴行を繰り返し、肋骨を骨析するなど二十日間の入院を要する傷害を与えた。

 被害少年の心の中には生きる希望など、まったくなかった。ましてA少年らに立ち向かう気力など、どこにもなかった。このおよそ十ヵ月間、警察も学校も誰もあてにできないと、十五歳の少年は身をもって悟り、ひたすら怯えていたのだ。

父親が残してくれた保険金はすでに全部A少年らにむさぼりつくされてしまった。
母親も正常な判断力を失い、警察の対応にも落胆し、「借りた金を返すため」という被害少年の言葉を問いただすこともせず、「追いつめられた子供を守ってやりたい」という一心で、息子の求めに応じ、ありったけの現金を工面したのである。
by zederauge | 2010-11-06 17:09