黒木昭雄さんのブログを転載 

【5 名古屋五千万円恐喝事件】警察と学校の達携 傑作(0)
2010/2/7(日) 午前 1:08連載 警察はなぜ堕落したのかノンフィクション、エッセイ Yahoo!ブックマークに登録 5 名古屋五千万円恐喝事件
 事件への対応を遅らせた真相は何か

 警察と学校の達携

 p86-88

 被害少年の母親がはじめて扇台中学校を訪れたのは七月一日のことだった。母親が、「息子が勝手に約五十万円を通帳から引き出したので、不審に思い、もしや恐喝の被害にあっているのではないかと考え担任教諭に相談した」という。親であれば当然の行動である。

ところが、事件発覚後におこなわれた記者会見で、校長は、「少年が無断で現金をおろしたのを不審に思った母親が、六月に学校に来た」「少年の遅刻を不審に思った当時の担任教論が母親に電話をかけたのがきっかけ」などと説明し、被害少年の母親がはじめて学校を訪れて相談した内容(現金をおろしたのは恐喝にあっているからではないか?)と、大きくくいちがっている。

そして言葉に詰まると、「気が動転している……」と言って会見の場を離れた。しかし、この説明はおかしい。親がわが子のことを「勝手に約五十万円を通帳から引き出した」などと学校に申し出るだろうか。母親は、わが子が恐喝の被害者になっていると思ったからこそ、すがりつく思いで相談に行ったのだ(のちに校長は「(被害生徒が)学校にチクって報復されるのを恐れている。警察なら話せるかもしれないと思った」と弁解している)。

 また、この会見で校長に代わって説明に立った、当時の三年生の学年主任(四十九歳)と生活指導主事(四十二歳)は、「少年が『友だちに金を貸しただけ』『自分でゲームに使った』などと言うばかりで、被害を訴えてくれなかったため追及できなかった」と繰り返したが、「多額の金が動いているのをうすうす感じていた」と語り、緑警察署への相談を二人に勧めたと話した。

これもまたおかしな説明だ。「多額の金が動いているのをうすうす感じていた」と生活指導主事が答えたのは、「日ごろから生徒指導を徹底していた」ということを言いたいがための説明にすぎないのである。これこそ中学校の責任逃れの姿勢といえよう。

 生活指導担当の教員は日ごろから地域を管轄する警察署と情報交換しているのがふつうだ。各警察署には少年補導票が保管されていて、問題行動を起こしたことのある生徒がリストアップされている。じつは、今回の恐喝事件のリーダー格のA少年は、「扇台中学校の要注意人物」として把握されていたのである。一方、学校側も、A少年の問題行動を詳細に記録(二年間で百二十四件)していたが、資金源を含め、A少年の行動を総合的にとらえようとはしなかった。

 このように双方ともA少年の素行を把握していたにもかかわらず、警察と学校の連携がまったく生かされなかった。学校側は「警察に行ってくれ」と言うだけで、問題を放りだしたに等しいし、相談を受けた愛知県警縁警察署は、少年係の警察官が約一時間ほど聞き取りをしたが、被害少年が加害者側の名前を□にしなかったため、警察としては、その後、被害者側から何の連絡もなかったので、学校内で解決をはかったものと思い込んでいたという。

 マスコミは警察のこの対応を「怠慢」と批判していたが、この事件に限ってはそれはあてはまらない。繰り返しになるが、学校内でのトラブルはまず学校が対応しなければならないのが原則だ。だいいち警察は、重大な犯罪性が見えてこなかった以上、「その後いかがですか」とは聞かないものだ。
by zederauge | 2010-11-06 17:08